夜勤がつらい40代・50代看護師へ|体力に合わせて働き方を見直す7つの選択肢

夜勤がつらい40代・50代看護師へ|体力に合わせて働き方を見直す7つの選択肢

「夜勤をすると、血圧が160以上になってしまって……」

以前、一緒に働いていた看護師がそう話していました。

当時、今の私と同じ50代半ば。

長年夜勤を続けてきましたが、「やっぱり夜勤がえらい(つらい)」と退職しました。

それから何年か経ったある日、買い物中にばったり会いました。

そのとき彼女が笑いながら言ったんです。

「体がほんとにウソみたいに楽になってね。今では毎週ビーチバレーしてるよ」

以前よりずっと明るい表情をしていました。

夜勤をやめたことが、彼女にとっては大きな転機だったのだと思います。

40代、50代になって、

「夜勤明けの疲れが翌日まで残る」

「休んでも回復しにくくなった」

「この勤務をあと何年続けられるだろう」

と考えるようになる看護師は少なくないと思います。

だからといって、すぐに転職する必要があるわけではありません。

まず考えたいのは、

「看護師を辞めるかどうか」ではなく、「今の自分にとって何が一番負担になっているのか」

ということです。

夜勤なのか。

勤務時間なのか。

急変対応なのか。

人間関係なのか。

通勤なのか。

求められる医療処置なのか。

そこが分かると、働き方の選択肢も見えやすくなります。

まずは「今の職場」で変えられることがないか考える

夜勤がつらくなってくると、

「もう転職するしかないのかな」

と思うことがあります。

でも、今の職場そのものが嫌なわけではないなら、最初から職場を変える必要はありません。

たとえば、

  • 夜勤回数を減らす
  • 夜勤免除を相談する
  • 日勤常勤へ変更する
  • パートや短時間勤務へ変更する
  • 夜勤のない部署へ異動する

という方法もあります。

新しい職場へ移れば、仕事内容、人間関係、業務の流れなどを一から覚えることになります。

それなら、

「今の職場は嫌いではない。でも夜勤だけがつらい」

という場合は、まず夜勤を外せないか相談してみる価値があります。

日本看護協会も、夜勤・交代制勤務について、看護職の健康や安全の観点から負担軽減の必要性を示しています。

「以前はできていたから、まだできるはず」と考えるのではなく、今の自分の体調や生活に合わせて勤務を見直すことも、働き続けるための方法のひとつです。

「夜勤をなくしたい」だけでは職場を選ばない

今の職場では勤務変更が難しい。

あるいは、

「夜勤だけでなく、今の働き方そのものを変えたい」

と思っているなら、別の職場を考える方法もあります。

ただし、ここで注意したいことがあります。

「夜勤がない職場=楽な職場」ではありません。

夜勤がなくなれば生活リズムは整えやすくなりますが、その代わりに、

  • 忙しさ
  • 人間関係
  • 判断の責任
  • オンコール
  • 身体介助
  • 接遇
  • 一人勤務
  • 給与

など、別の負担が出てくることがあります。

大切なのは、

世間一般で「楽」と言われる職場ではなく、自分にとって負担が少ない職場を探すこと。

ここからは、その視点で日勤中心の働き方を見ていきます。

40代・50代から考えたい7つの働き方

1.クリニック・無床診療所

病棟からの転職先として、比較的イメージしやすいのがクリニックです。

無床診療所なら基本的に夜勤はありません。

診察介助、採血、点滴、検査など、ある程度決まった流れで仕事をする職場も多くあります。

一方、クリニックは少人数で運営しているところも多いため、

  • 看護師が何人配置されているか
  • 急な休みに対応できるか
  • 残業はどの程度あるか
  • 昼休憩が長すぎないか
  • 土曜日勤務があるか

などは確認しておきたいところです。

「夜勤がない」だけではなく、一日の拘束時間まで見ることがポイントです。

2.訪問看護

これまでの臨床経験を活かしながら、病院とは違う看護をしたい人には訪問看護という選択肢があります。

利用者さんの自宅を訪問し、その人の生活に合わせて看護する仕事です。

一人ひとりと向き合う時間が比較的取りやすいことに魅力を感じる人もいます。

ただし、

「日勤だから夜の負担がない」とは限りません。

事業所によってはオンコールがあります。

訪問看護を検討するなら、

  • オンコールは月何回か
  • 電話だけで終わることが多いのか
  • 実際の出動回数
  • 一人で判断する範囲
  • 困ったときの相談体制

まで確認しておくと安心です。

特に「夜、仕事のことを気にせず眠りたい」という人にとって、オンコールの有無は重要です。

3.介護・福祉施設

「急性期病院とは違う場所で看護をしたい」と考えたとき、介護・福祉施設も選択肢になります。

ただし、ひとくちに施設といっても仕事内容はかなり違います。

デイサービス

基本的に日中のみの勤務です。

バイタル測定、服薬確認、処置、利用者さんの体調管理などが中心になります。

夜勤をなくしたい人には検討しやすい職場ですが、入浴介助への関わり方や送迎時間、看護師の配置人数などは事業所によって違います。

特別養護老人ホーム

利用者さんの「生活の場」で健康管理を行います。

病院のように治療中心ではありませんが、看取りに関わる施設もあります。

夜勤を介護職が担当する施設でも、看護師がオンコールを担当する場合があります。

介護老人保健施設

在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。

医療処置が比較的多い施設もあり、夜勤看護師を配置しているところもあります。

「施設だから日勤だけ」と思い込まず、勤務体制を確認する必要があります。

医療依存度の高い入居施設・ナーシングホーム

人工呼吸器、気管切開、経管栄養、頻回な吸引などを必要とする利用者さんを受け入れている施設もあります。

病院とは環境が違っても、必要とされる医療的判断や処置が多い場合があります。

「急性期から少し離れたい」と考えている場合は、入居者の医療依存度を確認しておきたいところです。

障害児・者施設

医療だけではなく、生活そのものを支える看護です。

長く利用者さんと関われる一方、身体介助、家族との連携、多職種との調整などが重要になります。

病院とは違う種類の難しさがありますが、生活を見る看護が好きな人には合う可能性があります。

同じ「施設看護」でもかなり違うので、施設名だけではなく、そこで看護師が何をしているのかを見ることが大切です。

4.健診センター・巡回健診

健診センターでは、採血、血圧測定、問診、検査介助などを担当します。

夜勤のない求人も多く、規則的な勤務を希望する人には選択肢になります。

ただし、

「健診=ゆっくり働ける」

とは限りません。

午前中など特定の時間帯に受診者が集中するため、短時間で多くの採血や検査を行う職場もあります。

採血のスピードや正確性、接遇を求められることもあります。

急変対応の頻度を減らしたい人には合っていても、忙しい流れ作業が苦手なら負担に感じる可能性があります。

5.保育園・学校など

子どもたちの健康管理に関わる働き方もあります。

保育園看護師であれば、園児の体調管理、けがや発熱への対応、感染対策、保健指導などを行います。

夜勤のない求人が中心ですが、看護師が一人配置という職場もあります。

また、特別支援学校などでは、吸引や経管栄養などの医療的ケアに関わることがあります。

「子どもに関わる仕事だから医療処置が少ない」と決めつけず、実際の役割を確認しておくことが必要です。

6.企業・健康管理部門

企業の健康管理室や産業保健分野で働く方法もあります。

社員の健康診断の管理、健康相談、保健指導、メンタルヘルス支援などが中心です。

夜勤のない働き方をしやすい一方、病院看護とは仕事内容がかなり変わります。

求人そのものが多くないことに加え、企業によってはパソコン操作、資料作成、調整業務などの比重も高くなります。

「医療処置から少し離れたい」「働く人の健康支援に関心がある」という人には候補になります。

7.電話・オンラインでの健康相談

身体的な負担を減らしたい場合には、電話やオンラインで健康相談を行う仕事もあります。

立ち仕事や移乗介助が少ないため、

「腰や膝への負担を減らしたい」

という人にとってはひとつの選択肢です。

その一方で、相手の表情や状態を直接確認できない中で話を聞き、必要な情報を整理する力が求められます。

「体力的に楽そう」という理由だけではなく、

話を聞くことや、言葉で状況を整理する仕事が自分に合うか

という視点でも考えてみるとよいでしょう。

夜勤をやめる前に「収入」は一度計算しておく

夜勤を減らしたいと思っていても、やはり気になるのがお金です。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、2025年の賃金構造基本統計調査をもとにした看護師全体の平均年収は524.7万円となっています。

ただし、この数字には勤務先や勤務形態の違う看護師が含まれています。

「日勤になれば年収はいくらになる」

と一律には言えません。

実際には、

  • 現在の夜勤手当
  • 基本給
  • 賞与
  • 資格手当
  • オンコール手当
  • 勤務時間
  • 年間休日

などによって大きく変わります。

そのため転職を考える前に、一度、

「夜勤をなくした場合、手取りが月いくら変わるのか」

を今の給与明細から計算してみることをおすすめします。

たとえば夜勤手当が月4万円なら、単純計算では年間48万円です。

「48万円減る」と考えるだけでなく、

「48万円で年間何回の夜勤を引き受けているのか」

と考えてみると、自分にとって夜勤を続ける価値があるのかを考えやすくなります。

収入はもちろん大切です。

でも、

収入・体力・時間・睡眠・家族との生活のどれを優先するか

は、人によって違います。

正解はひとつではありません。

クリニックは「診療科」だけで判断しない

クリニックを探していると、

「皮膚科は楽」

「眼科がおすすめ」

「耳鼻科なら夜勤がない」

といった情報を見かけることがあります。

でも、同じ診療科でも職場によって忙しさは違います。

たとえば皮膚科でも美容診療を多く扱うところがありますし、眼科でも手術件数が多いところがあります。

耳鼻咽喉科は季節によって患者数が大きく増えることがあります。

婦人科でも診療内容によって仕事内容は変わります。

そのため、

「何科なら楽か」より、「そのクリニックで看護師が何を担当するのか」

を見る方が現実的です。

求人票だけでは分からないことも多いので、可能であれば見学や面接で確認してみてください。

自分にとって「負担の少ない職場」を見つける5つのポイント

職場を探すときは、職種名だけではなく次の5つを確認してみてください。

1.夜勤・オンコールは本当にないか

「日勤中心」と書かれていても、オンコールがある場合があります。

回数だけでなく、実際の電話対応や出動頻度まで確認します。

2.看護師は何人配置されているか

看護師一人勤務の場合、身体的には忙しくなくても、判断を一人で担うプレッシャーがあります。

急な休みを取りやすいかどうかにも関係します。

3.どこまで医療処置を求められるか

同じ施設でも、利用者や患者の医療依存度によって仕事内容は違います。

「自分は何なら続けられるか」を先に考えておくと選びやすくなります。

4.身体介助はどの程度あるか

夜勤がなくても、移乗や入浴介助が多ければ腰や膝への負担が大きくなる場合があります。

体力を理由に働き方を変えるなら、ここは重要です。

5.勤務時間だけでなく「拘束時間」を見る

クリニックなどでは昼休憩が長く、
「午前勤務 → 長い休憩(中抜け) → 午後勤務」

という働き方もあります。

勤務時間だけを見ると短くても、一日の自由時間が少なくなることがあります。

自分が欲しいのが、

「夜勤がないこと」なのか、

「夕方早く帰れること」なのか、

「体力を使わないこと」なのか。

そこを明確にしておくと、求人を比較しやすくなります。

「夜勤がつらい」の中身を、一度分けてみる

働き方を変える前に、紙に書き出してみるのもおすすめです。

今つらいのは、

  • 夜に起きていること
  • 夜勤明けでも眠れないこと
  • 生活リズムが崩れること
  • 急変対応
  • 重症患者を受け持つ緊張
  • 人手不足
  • 残業
  • 身体介助
  • 人間関係

このうち、どれでしょうか。

たとえば、

「夜勤さえなければ今の病棟で働きたい」

という人と、

「もう急性期の緊張そのものから離れたい」

という人では、選ぶ方法は違います。

ここを整理しないまま「夜勤なし求人」だけを探すと、職場を変えても別の負担に悩むことがあります。

まとめ|「辞めるか続けるか」ではなく、何を変えるか考える

夜勤が以前よりつらくなったと感じたとき、

「もう看護師を続けられないのかな」

と考えてしまうことがあります。

でも、変えられるのは職業そのものだけではありません。

夜勤を減らす。

日勤だけにする。

部署を変える。

常勤からパートにする。

急性期から生活を支える看護へ移る。

医療処置の少ない仕事へ移る。

今の職場に残りながら勤務条件を変える方法もあります。

転職する方法もあります。

看護師としての働き方そのものを変える方法もあります。

大切なのは、

「どの職場が一番楽か」ではなく、「今の自分なら、どんな働き方なら無理なく続けられるか」

を考えることだと思います。

冒頭で紹介した元同僚も、看護師を続けられなかったのではありません。

自分に合わなくなった働き方を変えました。

その結果、何年か後にはビーチバレーを楽しめる生活になっていました。

働き方を変えることは、これまでの経験を捨てることではありません。

40代、50代からは、

今までできた働き方に自分を合わせ続けるのではなく、これからの自分に働き方を合わせていく。

そんな選び方があってもいいのではないでしょうか。

参考資料

登録はこちら!